レイヤー2エクスプローラーの役割は、イーサリアムにおけるEtherscanとまったく同じです。ハッシュやアドレスといった無味乾燥な文字列を、人が読めるページに変えてくれます。ただし厄介なのは、それぞれのロールアップが独立したチェーンであり、独自のブロック、独自のエクスプローラー、場合によっては独自のアドレス形式まで持っている点です。Baseのトランザクションをメインネットのエクスプローラーに貼り付ければ「not found」と表示されるだけで、ロールアップに不慣れな人がパニックになる典型的な原因になります。この記事では、主要なロールアップごとにブックマークしておくべきエクスプローラーを対応づけ、2026年にサービスが移転・終了したものを整理し、ブリッジを介した資金の追い方まで解説します。
2分でわかるロールアップ:オプティミスティック型とZK型
ロールアップは、トランザクションの実行そのものはイーサリアムの外側で行い、それらをバッチにまとめてから、メインネットへデータを投稿します。2024年3月以降は、その大半がblobという形で投稿されるようになりました(このレイヤーについてはブロブ検索ガイド で詳しく解説しています)。イーサリアム側は、いわば控訴審のような役割を果たします。2つの系統の違いは、そのバッチが正しいことをこの「控訴審」にどう納得させるかにあります。
オプティミスティック・ロールアップ (OP Mainnet、Base、Arbitrum Oneなど)は、結果をひとまず「正しいもの」として投稿します。もし結果に誤りがあれば、誰でも約1週間のチャレンジ期間中に不正証明を提出できる仕組みです。設計はシンプルでEVMとの互換性も高い一方、イーサリアムへの出金はこの期間が明けるまで待たされることになります。
一方、ZKロールアップ (ZKsync Era、Scroll、Linea、Starknetなど)は、各バッチに暗号学的な妥当性証明を添えて投稿します。イーサリアム側がその証明を検証した時点でステートは確定するため、出金にかかる時間は日単位ではなく時間単位で済みます。引き換えに要求されるエンジニアリングは重く、Starknetに至っては仮想マシンそのものが別物です。
エクスプローラーを使う立場からすると、実務上の違いはさほど大きくありません。EVM互換のロールアップはすべて、イーサリアムと同じ42文字の0xアドレスを使い、同じウォレットの鍵でまとめて管理できます。変わるのはチェーンID、エクスプローラーのドメイン、そして自分のトランザクションを含んだL1バッチや、レシートに表示される「L1手数料」の行といった追加項目くらいです。
レイヤー2エクスプローラー一覧 OP Mainnet:「オプティミスティック・イーサリアム」のエクスプローラー
このネットワークが2021年に登場した当初、多くの人がOptimistic Ethereum と呼んでいました。Etherscan版のURLがいまもoptimistic.etherscan.ioのままなのはその名残です。その後しばらくは単に「Optimism」と呼ばれ、2023年6月により広いOPスタック・エコシステムと区別するためにOP Mainnet へと改称されました。つまり「Optimism イーサリアム エクスプローラー」や「オプティミスティック・イーサリアム・エクスプローラー」で検索しても、行き着く先は同じチェーンというわけです。
EtherscanのOP版エクスプローラーは、検証済みコントラクトやトークンページ、ガス代トラッカーまで含めて、メインネット版のEtherscanとほぼ同じ使用感です。Blockscout版は現在explorer.optimism.io(旧optimism.blockscout.comのアドレスはこちらへリダイレクトされます)で提供されており、どのL1バッチとblobがそのトランザクションを運んだかをすっきりと確認できるのが特徴です。どちらのエクスプローラーも、レシートにL2の実行手数料とシーケンサーが転嫁するL1データ手数料の2段構成で表示します。EtherscanのAPI無料枠がOP Mainnetをカバーしなくなった場合は、キー不要で使えるBlockscoutのAPIが代替になります。詳しくはエクスプローラーAPI比較記事 をご覧ください。
Arbitrumエクスプローラーの選択肢 Arbiscan は、Arbitrumの標準的なエクスプローラーで、Etherscanチームが開発しています。当サイトのEtherscanレビュー を読んだことがある方なら、操作感にすぐ慣れるはずです。オープンソースの代替としては、arbitrum.blockscout.com のBlockscoutインスタンスがあります。Arbitrum OneはBoLDという紛争解決プロトコルを採用しており、Arbitrumのドキュメントによれば紛争期間はおよそ6.4日 (DAOの決議で変更可能)とされています。ゲームやソーシャルアプリ向けの姉妹チェーンで手数料の安いArbitrum Novaは別ネットワークで、旧アドレスのnova.arbiscan.ioは現在Blockscout版のエクスプローラーへリダイレクトされているため、ブックマークの更新をおすすめします。
Baseエクスプローラー:BasescanとBlockscout
Coinbaseが手がけるロールアップであるBaseは、blobの投稿量で見ればレイヤー2の中でも圧倒的にトラフィックが多いチェーンです。Blobscanの集計では、Base単体で800万件を超えるblobが投稿されています。エクスプローラーはBasescan (Etherscan版)とbase.blockscout.com の2つ。2026年2月、BaseはOptimism Superchainから離脱し、独自運営のスタックへ移行すると発表しました。とはいえエクスプローラーの利用者にとって、一夜にして何かが変わったわけではありません。ドメイン、アドレス、ブリッジの流れはそのままで、2026年9月時点でもL2BEATはBaseを「Stage 1」のオプティミスティック・ロールアップに分類しています。ただし移行が進むにつれて出金の仕組みが変わる可能性はあるため、注視しておく価値はあります。
ZKロールアップのエクスプローラー:ZKsync、Scroll、Linea、Starknet ZKsync Era
現在使うべきなのは公式のZKsync Era Explorer です。Etherscanが手がけていたera.zksync.networkのアドレスも、現在はこちらへリダイレクトされます。トランザクションページには、そのトランザクションがどのL1バッチに含まれ、そのバッチがイーサリアム上でcommit(投稿)・prove(証明)・execute(実行)のどの段階まで進んでいるかが表示されており、ZKロールアップのファイナリティを目で確認できる最もわかりやすい方法です。ZKsyncのドキュメントによると、出金がファイナライズされるまでには最低3時間の実行遅延があります。2026年9月、開発チームは旧仮想マシンであるEraVMを6か月以内に廃止し、新しいAtlasスタックへ移行すると発表するとともに、EraVMチェーンでの遅延を24時間へ延ばすよう推奨しました。通常のウォレット残高であれば特に対応は不要ですが、大きな金額を動かす前には公式のZKsyncチャンネルで最新情報を確認してください。
Scroll Scrollscan がScrollの主要なエクスプローラーです。2026年9月時点の確認では、scroll.blockscout.comもこちらへリダイレクトされていました。バッチは、妥当性証明がイーサリアムに到達した時点で「committed」から「finalized」へと状態が進みます。
Linea
MetaMaskの開発元でもあるConsensysが手がけるLineaには、EtherscanによるLineascan と、Blockscoutを使ったexplorer.linea.build の2つのエクスプローラーがあります。どちらも申し分ない出来なので、好みのレイアウトを選べば大丈夫です。
Starknet
Starknetは毛色がまったく異なる存在です。EVMではなくCairo VMを実行し、アドレスは16進64桁と長いため、イーサリアムのエクスプローラーではそもそも読み取れません。主要なエクスプローラーは、Nethermindが開発するVoyager と、2026年9月時点で稼働していたStarkscan の2つです。Starkscanは今や、単なるエクスプローラーというより、開発者やAIエージェント向けのデータAPIとしての売り出し方を強めています。Starknetの公式サイトでも両方が紹介されており、Voyagerのほうが歴史の古いサービスです。
Polygon zkEVM
Polygon zkEVM Mainnet Betaは、すでにサービスを終了 しています。Polygonの発表によると、シーケンサーは2026年7月3日に停止し、ネットワークはもうブロックを生成していません。通常のウォレットに残っている資産は、2027年12月31日までPolygon zkEVMの請求ページ を通じてイーサリアム側で引き出せますが、スマートコントラクトの中にロックされた資金は取り戻せません。旧エクスプローラーのzkevm.polygonscan.comは、当サイトでテストした際には読み込みませんでした。Polygon PoSはこの影響を受けていません。
ロールアップへ資金を移す予定はありますか?
多くの取引所では、ETHやステーブルコインをBase、Arbitrum、OP Mainnet宛てに直接出金でき、ブリッジとその待機時間を省くことができます。出金画面でネットワークをよく確認したうえで送金し、着金は対応するL2のエクスプローラーで確かめましょう。暗号資産は価格変動が大きく、価値が下落することもあります。
2013年から運営 英国FCA登録 PCI DSS準拠 口座を開設 L1とL2をまたぐブリッジの入金・出金を追跡する
ブリッジでの資金移動は、2つのチェーン上でそれぞれ1件ずつ、合計2件のトランザクションから成り立っています。全体の流れを把握するには、両方のエクスプローラーを見る必要があります。
入金(L1からL2へ) は、比較的わかりやすい方向です。イーサリアム上のロールアップのブリッジコントラクトへトランザクションを送り、当サイトのライブ版イーサリアム・エクスプローラー などメインネットのエクスプローラーで確認できます。数分後、ロールアップ側が同じアドレス宛てに対応する入金トランザクションをL2上で作成します。OPスタック系のチェーンでは特別な「deposit」トランザクションタイプとして、Arbitrumでは「retryable ticket」として表示されます。メインネット側は成功しているのに20分経ってもL2側が反映されない場合は、ハッシュではなく自分のアドレスでL2エクスプローラーを検索してみてください。L2側のトランザクションはハッシュ自体が別物だからです。
不安になりやすいのは出金(L2からL1へ) のほうです。OP MainnetやBaseのようなオプティミスティック・ロールアップでは、次の4段階を踏みます。
1 STEP 01 L2で出金を開始 ウォレットがOP MainnetまたはBase上で出金トランザクションを送信します。L2のエクスプローラーには、ブリッジコントラクトへの呼び出しとして表示され、数秒で承認されます。
2 STEP 02 L1で証明(Prove) 出金を含むL2のステートがイーサリアムに投稿されたら(通常は1時間ほどで完了します)、メインネット上で「prove」トランザクションを送信します。これは自分のアドレスから送られたトランザクションとして、メインネットのエクスプローラーに表示されます。
3 STEP 03 チャレンジ期間を待つ 投稿されたステートに誰でも異議を申し立てられる、7日間の期間です。この間はチェーン上に何の動きも現れないため、「資金が消えてしまった」と勘違いする人が後を絶ちません。
4 STEP 04 L1でファイナライズ 期間が明けたら「finalize」(またはclaim)トランザクションを送信します。この時点で初めてETHやトークンがメインネットのアドレスに着金し、どのメインネット・エクスプローラーでも確認できるようになります。
Arbitrumもほぼ同じ流れですが、独立した「prove」の段階はありません。約6.4日待ってからclaimするだけです。ZKロールアップは長い待機を必要とせず、証明と実行遅延さえ経過すれば、通常は数時間で出金をファイナライズできます。利用したブリッジのインターフェースには大抵ステータス表示がついていますが、最終的な正しさを判断できるのはエクスプローラーです。ブリッジコントラクトの呼び出しとそのログを含め、個々のメインネット・トランザクションの読み方はトランザクションの見方ガイド で1項目ずつ解説しています。
L2BEATでロールアップのリスクを確認する
エクスプローラーが教えてくれるのは「何が起きたか」であって、「そのチェーンがどれだけ安全か」ではありません。そこで参照すべき標準的な情報源がL2BEAT です。ロールアップをステージ で評価しており、Stage 0は運営者やセキュリティ・カウンシルへの依存度がまだ高い段階、Stage 1は証明の仕組みが機能しつつも上書き権限が一部残る段階、Stage 2は完全にトラストレスな段階を指します。この記事の執筆時点で、L2BEATはBase、Arbitrum One、OP Mainnet、StarknetをStage 1に、Linea、ZKsync Era、ScrollをStage 0に分類していました。ロックされている資産額、データの可用性、運営者が不正を働いた場合にどれだけ早く資金を引き出せるかといった指標も追跡しています。
習慣として身につけておきたいのは、まとまった金額をどのL2に置く前にも、まずL2BEATのリスクページに目を通し、次にそのL2のエクスプローラーで、これから使おうとしているブリッジコントラクトがL2BEATの記載と一致しているかを確認することです。コントラクトのメインネット側の検証状況やプロキシの有無を確かめる方法はスマートコントラクトの調べ方ガイド で、メインネットのツールを深く比較したい場合はおすすめイーサリアム・エクスプローラー2026 で紹介しています。まずロールアップのテストネットで試したい方は、テストネット用エクスプローラーのガイド でSepoliaを扱っており、そのL2版(sepolia-optimism.etherscan.ioやsepolia.arbiscan.ioなど)も基本的な使い方は同じです。