イーサリアムの買い方そのものは、10分もあれば覚えられます。安全に買う方法を身につけるにはもう少し時間がかかり、このガイドが重点を置くのはそちらです。購入自体は簡単なステップで、取引所がお金を受け取り、口座にETHを反映してくれるだけです。ミスが起きるのはその前後です。そっくりな偽サイトで登録してしまう、二段階認証を後回しにする、間違ったネットワークでコインを送ってしまう、向こうから連絡してきた「サポート担当者」を信じてしまう、といった具合です。
当サイトはブロックエクスプローラーの情報サイトなので、購入を反対側から考えます。ゴールは、ETHが自分の管理するウォレットに届き、そのトランザクションを公開チェーン上で自分の目で確認できた瞬間です。それより前のすべての作業は、確実にそこへたどり着くためのものです。以下の8つのステップで、空のウォレットから、検証済みでセルフカストディされた残高までを順に進めます。日本にお住まいの方向けに、金融庁の登録制度や国内の交換業者ならではの注意点もあわせて説明します。
ETHを安全に買う方法:8つのステップ
まずは全体の流れを一覧で示します。その後のセクションで、特につまずきやすいポイントを詳しく説明します。
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予算と目的を決める
どこまでならリスクにさらせるか、そしてETHを保有したいのか、ガス代に使いたいのか、アプリで使いたいのかを決めましょう。暗号資産の価格は数週間で半値になることもあります。失っても生活に困らないお金だけを使ってください。
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お住まいの国で登録を受けた取引所を選ぶ
お住まいの地域で合法的に営業している取引所を候補に挙げ、規制当局自身の登録簿で登録状況を確認します(日本なら金融庁の暗号資産交換業者登録一覧、米国ならFinCEN・NMLS、英国ならFCA、EUならESMA・BaFin・AMF)。取引所のWebサイトに載っているロゴだけを信用してはいけません。
- 3
口座を開設し、本人確認を済ませる
取引所のアドレスは自分で入力するか、公式アプリを使います。本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)と自撮り写真の提出を求められ、住所の確認が必要になることもあります。正規の取引所はこれらを求めますが、ウォレットのリカバリーフレーズを求めることは絶対にありません。
- 4
入金する前に口座を固める
アプリ方式の二段階認証かパスキーを有効にし、使い回していないパスワードを設定します。フィッシング対策コードがあれば設定し、出金先アドレスのホワイトリスト機能を、できれば新規アドレスに待機期間が設けられる形で有効にしましょう。
- 5
入金してETHを購入する
一般的にもっとも安いのは銀行振込で、クレジットカードは速いものの割高です。表示上の手数料だけでなく、手数料とスプレッドを差し引いた後に実際に何ETH受け取れるのかという総額で比べてください。
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セルフカストディ型のウォレットを用意する
信頼できるウォレットアプリを入れるか、ハードウェアウォレットを設定します。リカバリーフレーズは紙に書いてオフラインで保管し、Webサイトには絶対に入力しないでください。受け取り用のアドレスは、必ずウォレットアプリ自体からコピーします。
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少額でテスト出金する
まず少額だけを、ウォレットに合ったイーサリアムのネットワークを選んで出金します。確定する前に、アドレスの先頭6文字と末尾6文字を照合してください。
- 8
チェーン上で送金を確認してから残りを送る
出金トランザクションのハッシュをブロックエクスプローラーに貼り付け、ステータス、受取人、金額、承認数を確認します。テスト送金がファイナライズされ、ウォレットにも表示されたら、残りの残高を出金しましょう。
イーサリアムはどこで買うか:登録を受けた取引所の選び方
初めてのETHは、たいてい中央集権型の取引所で買うことになります。円やドル、ユーロ、ポンドをイーサに替えるもっとも簡単な方法だからです。もっとも重要な判断基準は、手数料でもアプリのデザインでもありません。その会社があなたの住む地域の顧客にサービスを提供することを法的に認められているかどうか、そしてそれをご自身で確認したかどうかです。
取引所は規制当局のロゴを掲げたがりますが、それは無視して情報源に当たりましょう。以下の規制当局はいずれも無料の公開検索を用意しています。会社の正式名称を入力し、登録番号、商号、Webサイトのアドレスが完全に一致するかを確認してください。詐欺業者は実在する会社の情報をそっくり真似ることがよくあるので、名称が一致するだけでは不十分です。
日本
日本では、暗号資産の売買や交換、その媒介などを業として行うには、資金決済法に基づいて金融庁・財務局の登録を受ける必要があります。登録を受けた事業者は「暗号資産交換業者」と呼ばれ、金融庁が公式の登録一覧をPDFで公開しています。この一覧に載っていない事業者は、日本の居住者に対して勧誘を行うことが認められていません。登録業者には、顧客の資産を自社の資産と分けて管理する分別管理や、顧客の暗号資産の大部分をインターネットから切り離したコールドウォレットなどで保管することが義務付けられています。
また、登録業者の多くは、金融庁から認定を受けた自主規制団体である日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)に加盟し、協会の自主規制ルールにも従っています。協会のWebサイトでは会員の一覧や、取り扱いが認められている暗号資産の一覧を確認できます。金融庁は、無登録で日本の居住者向けにサービスを提供していた海外事業者に対して警告を出し、その名称を公表することもあります。気になる事業者がある場合は、金融庁のWebサイトで最新の情報を確認してください。
米国
送金業務を行う暗号資産取引所は、FinCENにマネーサービス事業者(MSB)として登録しなければならず、登録状況はFinCENのMSB登録者検索で確認できます。この登録はマネーロンダリング対策上の要件であって、お墨付きではありません。より意味があるのは州ごとの免許で、NMLS Consumer Accessで会社を検索すると、実際にどの州の送金業免許を持っているかがわかります。SECのInvestor.govでも、暗号資産詐欺に関する注意喚起が公開されています。
英国
暗号資産事業者は、マネーロンダリング対策の目的で金融行為規制機構(FCA)への登録が必要です。FCAの金融サービス登録簿で事業者を調べ、なりすまし業者についてはFCAの警告リストも確認しましょう。登録されていても、暗号資産が金融オンブズマンやFSCSによって保護されるわけではありません。
EU
MiCA規則のもとでは、暗号資産サービス提供者は各国当局の認可を受ける必要があり、各国の経過期間は遅くとも2026年7月1日までに終了しました。ESMAが公開している暫定登録簿か、ドイツならBaFinの企業データベース、フランスならAMFといった各国の規制当局で確認できます。
当サイトが紹介している取引所について
当サイトでは、主に日本国外の読者に向けてCEX.IOを紹介しています。2013年から運営されており、米国ではFinCENにマネーサービス事業者として登録し、複数の州で送金業免許を保有しています(NMLS ID 1804170)。英国ではFCAに暗号資産事業者として登録しており、カード決済についてはPCI DSSに準拠しています。いずれも上記の登録簿でご自身で確認できる実績と登録内容で、まさにそうした確認を行うことをおすすめしています。利用できるかどうかは国や米国の州によって異なるため、登録する前にお住まいの地域でサービスを受けられるかを確かめてください。この取引所も含めて、リスクのない取引所はありません。
日本にお住まいの方は、金融庁・財務局に登録された暗号資産交換業者を利用するのが基本です。国内の登録業者であれば、円での入金、日本語でのサポート、国内法に基づく分別管理といった前提がそろいます。候補の事業者が金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」(PDF)に掲載されているか、商号と登録番号まで照合してから口座を開設してください。
本人確認(KYC)の流れ
規制を受けた取引所は、顧客が誰なのかを把握しなければなりません。氏名、生年月日、住所に加え、パスポート、マイナンバーカード、運転免許証などの本人確認書類の写真と、システムが顔と書類を照合するためのその場での自撮りを求められると考えてください。国や取引上限によっては、住所の証明や資金の出どころについての質問が加わることもあります。国内の交換業者では、スマートフォンで書類と顔を撮影する「eKYC」で完結するのが一般的で、職業や取引の目的、投資経験などを入力する欄もあります。審査は数分で終わることもあれば、混み合っている時期には数日かかることもあります。
ここで役立つプライバシーの習慣が2つあります。書類のアップロードは、アドレスを自分で入力してたどり着いた公式アプリや公式サイトの中だけで行い、メールやチャットのリンクからは決して行わないこと。そして、正規の取引所が本人確認の一環としてウォレットのリカバリーフレーズや二段階認証のコード、パソコンへのリモートアクセスを求めることは絶対にない、と覚えておくことです。
支払い方法と手数料をわかりやすく
支払い方法は、たいてい3種類から選べます。銀行振込(日本なら振込入金やインターネットバンキング経由の即時入金、米国ならACHや電信送金、欧州ならSEPA、英国ならFaster Payments)は通常もっとも安く、方式によって数秒から数日かかります。デビットカードやクレジットカードは即時で便利ですが、処理手数料を含めると数パーセントになることも多く、目に見えて割高です。Apple PayやGoogle Payといったウォレット決済は、カードとほぼ同じ扱いです。
手数料は3つの場所に隠れています。明示された取引手数料や処理手数料、支払う価格と市場価格の差であるスプレッド、そしてETHを外に移すときの出金手数料です。国内の交換業者では、業者が相手になって売買する「販売所」と、利用者同士が板で注文を出し合う「取引所」の2つの形式を用意していることが多く、ワンタップで買える販売所は手軽な反面、スプレッドが広めに設定されているのが一般的です。もっとも公正な比べ方は、どの取引所にも同じ質問をすることです。「5万円払ったら、最終的に自分のウォレットに何ETH届くのか?」。即時の「購入」ボタンのほうが簡単ですが、板取引の指値注文に抵抗がなければ、そちらのほうが安く済むことがよくあります。
取引所の口座を守る
これは入金の前に済ませてください。後からでは遅いのです。ほかでは一度も使ったことのないパスワードをパスワードマネージャーで管理しましょう。二段階認証は、SIMスワップで乗っ取られるおそれのあるSMSではなく、認証アプリ、セキュリティキー、パスキーのいずれかで有効にします。取引所がフィッシング対策コードを提供していれば設定し、本物のメールにだけ自分しか知らない言葉が入るようにしておきます。
もっとも過小評価されている設定が出金先アドレスのホワイトリストです。有効にすると、口座から暗号資産を送れるのは事前に承認したアドレスだけになり、多くの取引所では、新しく追加したアドレスが使えるようになるまで24〜48時間ほどの待機期間を設けています。万一誰かに口座へ侵入されても、その待機時間が口座を凍結するための猶予になります。
セルフカストディ型のウォレットへETHを出金する
取引所にあるコインは、取引所が発行した預かり証のようなものです。自分だけがリカバリーフレーズを持つウォレットにあるコインこそ、本当の意味で自分のものです。長く持っておくつもりの分は、セルフカストディ型のウォレットに移せば、取引所が出金を止めたり破綻したりするリスクがなくなり、ETHをそのままアプリで使えるようにもなります。その代わり、リカバリーフレーズを再発行してくれる人は誰もいません。紙か金属のプレートに書き、オフラインで保管し、写真には絶対に撮らないでください。中立的な出発点としてはethereum.orgのウォレット検索がおすすめです。
出金の際には、どのネットワークを使うかを聞かれます。イーサリアムのメインネット上のETHなら「Ethereum」か「ERC-20」を選びます。ArbitrumやBaseといった手数料の安いレイヤー2ネットワークを選べる取引所も多いですが、それが意味を持つのはウォレット側も同じネットワークに設定している場合だけです。レイヤー2上での資金の追跡方法はレイヤー2エクスプローラーガイドで解説しています。アドレスはウォレットアプリからコピーして貼り付け、先頭6文字と末尾6文字を照合してください。この確認で、クリップボードを書き換えるマルウェアや、そっくりなアドレスから少額を送りつけて履歴から間違ったアドレスをコピーさせようとする「アドレスポイズニング」を防げます。
国内の交換業者から出金する場合は、いわゆる「トラベルルール」への対応として、送付先が自分自身のプライベートウォレットなのか、ほかの交換業者なのか、その場合はどの事業者なのかといった情報の入力を求められることがあります。業者によっては送付先の事業者や国に制限があり、出金できる先が限られていることもあるので、ETHを買う前に出金のルールも確認しておくと安心です。
最初は必ず少額のテスト送金から始めましょう。余分にかかるのは出金手数料1回分と1分ほどの時間だけで、全額を送る前に、アドレスもネットワークもウォレットの設定もすべて正しく動くことを証明できます。2026年のメインネットでは、ネットワーク手数料そのものはごくわずかです。現在の価格はイーサリアム・ガス代トラッカーで確認できます。
チェーン上で出金を確認する
取引所が出金を処理すると、トランザクションハッシュ(TxIDと呼ばれることもあります)が表示されます。0xで始まる66文字の文字列です。これを当サイトのライブ版イーサリアム・エクスプローラーに貼り付け、4つの点を確認してください。ステータスが「Success」になっていること。toのアドレス、あるいは「内部送金(internal transfers)」の受取人が自分のアドレスであること。金額(value)が、出金額から取引所の手数料を差し引いた額と一致すること。そして承認数(confirmations)で、そのトランザクションがどれだけ深くブロックに埋め込まれたかがわかります。
「to」欄に自分のアドレスではなくコントラクトが表示されていても、慌てる必要はありません。多くの取引所はスマートコントラクトを使って出金をまとめて処理しており、その場合ETHはトランザクション内の内部送金として届きます。いちばんわかりやすいのは自分のアドレスのページです。エクスプローラーでアドレスを検索すれば、新しい残高と入ってきた送金が表示されます。各項目の意味はトランザクション・エクスプローラーガイドで、残高と履歴の見方はアドレス・エクスプローラーガイドで解説しています。
承認数について補足します。イーサリアムでは12秒ごとにブロックが生成され、トランザクションは2エポック、約13分でファイナライズされます。それ以降は、ネットワークに対する大規模で誰の目にも明らかな攻撃でもない限り、取り消すことはできません。テスト送金がファイナライズ済みと表示され、ウォレットにも反映されたら、安心して残りを送ってください。
ETHを買うときに気をつけたい詐欺
暗号資産の詐欺が、いかにもハッキングらしい姿で現れることはめったにありません。親切を装ってやってきます。以下は特によく見かけるパターンで、どれにも簡単な防ぎ方があります。
偽のサポート担当者
SNSに質問を投稿すると、数分以内に「サポート担当者」から返信やDMが届く。あるいは取引所の電話番号を検索して、広告に紛れ込んだ偽の番号に電話してしまう。本物の取引所がDMで先に連絡してくることはなく、リカバリーフレーズや画面共有を求めることもありません。サポートは必ず公式アプリか公式サイトの窓口から利用してください。
「資金回復」サービス
被害に遭った人は、前払いの手数料と引き換えに盗まれた暗号資産を追跡して取り戻すと約束する業者から、二度目の標的にされることがよくあります。エクスプローラーを使えば誰でも盗まれた資金の流れを追えますが、追えることと取り戻せることは別の話で、取り戻すには捜査機関の関与と、たいていは協力的な取引所が必要です。米国のFTCが返金・回復詐欺を最悪の部類と位置づけているのには理由があります。正規の機関がお金を取り戻す手助けに前払いを求めることはなく、回復を保証できる人もいないのです。ほかのよくある手口は、FTCの暗号資産詐欺ガイドにまとまっています。
日本で被害に遭った、あるいは怪しいと感じた場合は、金融庁の金融サービス利用者相談室、消費者ホットライン「188」、警察の相談専用電話「#9110」などに相談できます。米国ではFTCやFBIのIC3、英国ではFCA ScamSmartが窓口です。
SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺(ピッグ・ブッチャリング)
見知らぬ相手が、たいていは「間違い」を装ったメッセージやマッチングアプリをきっかけに友人や恋人として近づき、何週間もかけて信頼を築いたうえで、驚くほどの利益が出ているという取引プラットフォームを紹介してきます。そのプラットフォームは偽物で、残高は画面上の数字にすぎず、出金しようとすると「税金」や「手数料」の名目で次々と追加の入金を求められます。FinCENはまさにこの手口について注意喚起を出しており、日本でも金融庁や警察庁がSNSやマッチングアプリを入口とする投資詐欺・ロマンス詐欺について繰り返し注意を呼びかけています。一度も直接会ったことのない相手から投資を指南されたら、そこで手を止めてください。
ほかにも注意したいものが2つあります。取引所やウォレットになりすました偽アプリや検索広告、そして送ったETHを倍にして返すという「プレゼント企画」です。どちらも本物であることは決してありません。誰かから送られてきたトークンを操作する前には、トークン・エクスプローラーガイドを参考に中身を確認してください。一方的に送りつけられるエアドロップは、フィッシングの承認(approve)を誘う格好の餌だからです。
最後に税金についてひと言だけ触れておきます。日本では、暗号資産の売買などで得た利益は原則として雑所得として扱われ、円に換えたときだけでなく、ETHをほかの暗号資産と交換したときや、ETHで商品を買ったときも課税の対象になり得ます。当サイトは税務の助言は行っていないので、詳しくは国税庁の情報を確認するか、税理士に相談してください。取引所の年間取引報告書と、エクスプローラーで確認できる送金の記録を保存しておくと、あとで計算するときに役立ちます。